4/1キブンゴ(コベパキ)のバナナ・ペーパー工房を訪問
今回の訪問では、今まで作っていたカードやファイルに加えて、今後、ルワンダ国内で需要が見込まれる「バナナ紙を使った“ランプ・シェード”」の作り方を教えたいと、製作で必要な材料および工具類を日本から持参しました。
今回は私一人での訪問です。今まで現地でサポートくださったJICA協力隊員も居ません。多少の不安はありましたが自然体でいこうと決め、まず初日はCOVEPAKI恒例の朝のミーティングからスタート。COVEPAKIのオール・スタッフに加え、バナナ・ペーパーのスタッフ達も全員顔を揃えていました。久しぶりの再会です。
ミーティングはパスカル代表の挨拶のあと、現状報告を聞き、また今回の訪問目的について、話しました。
- 3/28実施の第4回BP&スクール・キャンペーンについて、担当したスタッフから詳細な報告がありました。詳しくは、http://hatime.org/html/rep130426_pen.html
- 今回訪問の目的の1つ、「ランプ・シェードの骨組みと、薄いバナナ・ペーパーの製作」について、持参した日本で薄く漉いたBPを見せると、触ったり、透かして見たりと、みんな興味津々です。今まで生産していた カード、筆箱、ファイル用のBPとは異なる製作方法について話しました。
- 備品や工具のメンテナンスの大切さについて、日本から持参した砥石の使い方を説明し、また、ミキサーを長期間使うための注意点を、共に作業しながら伝えました。
- HAT工房で生産されたBP、またBPを使用した製品が、日本やヨーロッパで紹介されていることから、開発者および生産者を明確にしたいと用意したスタンプについては、COVEPAKI総意として、スタンプの使用に大賛成でした。
バナナ・ペーパー製作の責任者、チャレスが意欲的!
最後に、販売状況について、生産と販売の両面を進める必要性、国内マーケットの開拓について話をすると 「現在は、ヨーロッパのバイヤーが少し、それと国内のアカゲラホテルへのBPで包装した石鹸の販売が…」との話に留まり、今一歩の感じです。
その時、チャレスが「販売促進の予算を組んで欲しい!」と発言しました。今回の彼は、大変積極的に発言、行動していて何とも頼もしい感じです。
ミーティング終了後、彼から詳しく話を聞きました。
「自分は、今まで13年間ハンディ・クラフトの世界で働いてきた。国内のあちこちに人脈を持っている。BPは全く新しい商品なので、サンプルを持って多くの友人・知人に紹介したい。ただし交通費が無いし、組合の一員として勝手な行動はとれない。」と。
そこで、私より「毎月1回をプロモーションの日にしてはどうか?当面の、今後6ヶ月間の交通費は応援したい」と提案。「月1回で良いのであれば是非!」と話は進み、コベパキ・スタッフの了承も得て、国内マーケット開拓の新たな一歩を踏み出す事になりました。
さあ!いよいよ紙作り!そしてランプ・シェードの骨組み作り。思い通りにできるでしょうか?
今回使うネリは、キャッサバから採れるウブガリを使うことにしました。みんな手慣れた様子で漉いていきます。はじめに天日で少し乾かし、それからプレス機で一晩おきます。思い通りの紙は出来上がるでしょうか?
次はランプ・シェードの骨組み作りです。6セット分の材料を持参しましたが、我先にと場所を取り、洩れた人は後ろから作業の様子を真剣な眼差しで見守る、まるで学校の工作実技試験のようです。
彼らにとって、BPランプ・シェードの製作方法を習得することはとても魅力的な話です。
ルワンダでは、殆どの生活必需品(例えばシューズやボールペン、………)をケニヤなどの隣国から輸入しています。
ですから、BPランプ・シェードの技術を身に付けることは、大きな利点となると思われ、みんな真剣です。
製作中も見学者がひっきりなしで、中にはずーっと居座って掃除したり手伝ったり、二日間続けて来た人もいました。
聞くところによると、COVEPAKIは、キブンゴで「コーヒー」、「バナナ・ワイン」の製造組合と並ぶ、3本の指に入るトップ3の組合で、まして国内で誰も作っていないBPランプ・シェードの製造は、COVEPAKIにとって大きなメリットになるものと思われます。
※コベパキCOVAPEKI(キブンゴ手工芸品販売協同組合)について、簡単に解説すると、組合員は130人ほど。各自製作したバスケットその他の製品をCOVEPAKI店舗に持ち込んでもらい、それを一定のコミッションを取り販売します。その他にも懐かしい足踏みミシンで洋服のリフォーム、タイヤからスタンプ作り、背広もジャブジャブ手洗い、そして炭火アイロンを使用するクリーニング・サービスなどが、主な業務内容です。
漉いたバナナ・ペーパーを貼って、ランプ・シェードが完成しました!
前日、薄く漉いたバナナ・ペーパーが何とか完成し、次は、ランプ・シェードに貼り付ける作業です。果たしてどの様な感じになるでしょうか?真剣な作業が続きます。そして遂に完成しました。
参加者は口々に「僕も欲しい!」、「いくらで売れるかな?」 etc.と言いつつ完成品を眺めている彼らの顔が、誇らしく見えました。
思いもかけない事態に!
ところが、キブンゴ滞在最後の4/5に、思いがけなく、
「COVEPAKIそしてHAT工房が建っている辺り一帯に、ホテル建設が予定されているため、ンゴマ・ディストリクト・オフィスより立ち退きを迫られている。」と聞かされました。「えぇー!どうなっているの?」当に晴天の霹靂です。出張から帰ったパスカル氏を囲んで早速ミーティングとなりました。
これまで数回のルワンダ訪問の際、“キガリで大規模な立ち退き現場を目の当り”にしたり、“慣れ親しんだコミュニテイの人達と強制退去で引き離され、行政サイドから、割り当てられた移転先の土地で、決められた作物を栽培するように指示される”等の話を聞いて、「へえ!大変だな〜!」と感じましたが、今回は、まさに有無を言わせないトップ・ダウンの強権的な行政のやり方を、期せずして私たちも当事者の一人として、COVEPAKIが、またルワンダ市民が感じている痛みや恐れを、共有することとなりそうです。
ミーティングでは、パスカル氏から 「移転後も、HAT“BP&スクール・キャンペーン”、またバナナ・ペーパー生産をHATと共に続けたい。」との強い要望が語られ、最後に「今後、ンゴマ・ディストリクト・オフィスとは話し合いを開始します。また、当オフィスから何か通知があったらKumikoに直ぐ知らせます!」との約束を交わして、終了しました。
HATは COVEPAKIを全面的に応援!
COVEPAKIが一日も早く希望通りの移転先で、新たにビジネスを開始できるよう、そしてバナナ・ペーパーの生産を、COVEPAKIの皆と再開できるよう、HAT会員の方、またHATコーヒーをご愛飲の方、サポーターの皆さんと共に祈り、応援していきたいと思います。
今後とも、HATの「美味しいコーヒーの一杯で アフリカ農民支援!」を、どうぞ宜しくお願いいたします。