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ルワンダ・ンゴマ郡庁教育課からの要望に応え、「バナナペーパー(BP)実習授業」をスタート
私たちハーベストタイム(HAT)は、3年前よりコベパキ(キブンゴ手工芸品販売組合)の協力を得て、BP製作工房の建設、BP製作技術指導、BP製品国内マーケットの開拓、また、BP筆箱キャンペーン(各学校、毎月100名の生徒に贈呈)の活動を進めてきました。
これらが評価され、昨年12月、ンゴマ郡庁教育課から「学校で紙漉き実習をして欲しい」との要望があり、計画、費用などを検討し、「BP実習授業プロジェクト」を実施することにいたしました。 このプロジェクトは、今後1年間、毎月実施する予定です。

第一回BP実習授業(7/11)を実施するため、ルワンダ・キブンゴを訪問
初回の実習授業が、今後実施される授業(11回)のモデルケースになるため、準備に工夫を重ねました。参加する生徒は、毎回、小学校高学年生・50人です。
授業の目的は、BP作りの意義(エコ・リサイクル)、モノづくりの面白さ、そして郷土に対する誇りなどを、限られた時間内(2時間ほど)で体感してもらうことです。
このため、日本でパネルを作り持参しました。パネルは、授業の意義、そして各実習工程の様子など、豊富な写真を使用して素敵に仕上がりました。各工程の実習に入る前の解説用として、また「煮る」「乾燥」等の工程は、時間の関係でパネルでの説明のみとしました。
そして最後に、予め用意したBPを全員に配り、自分たちで数字を記入して、マイ・カレンダーの作成をするというものです。
パネル教材
スタッフにパネルを説明
パネル教材
スタッフにパネルを説明
材料・道具(一部)
版下を作ります
用意するカレンダー
材料・道具(一部)
版下を作ります
用意するカレンダー

7/5にキガリに到着、キブンゴに移動し、コベパキ・スタッフとのミーティング(7/8)で、授業の具体的な運び方、同行スタッフ、そして役割分担などについて打ち合わせをしました。
日本から持参したパネルを出して説明したところ、工房で働くコベパキ・スタッフの写真が使われているので、自分の姿を見つけては歓声が! また、スタッフにも世界地図を指して、日本はどこにあるか?と質問しても誰も分からずに更に盛り上がり。 パネルの内容に皆納得したようです。 教えることに大きな誇りを感じているのでしょう。7/11目指して、授業の進め方また準備に積極的に取り組みました。

脇道を入ると、情景が一変
訪問する公立Rubona小・中学校は生徒数が約1,200名。コベパキから約7km。ミニバスをチャーターして向かいました。5分ほど走ったあと脇道に入ると、知っていたキブンゴの様子と一変しました。電気や水の恩恵を全く感じられない、泥を積み重ねただけの粗末な家々が並び、道行く人たちの様子も異なります。舗装されてない道路で車が左右・上下に大きく揺れ、折しも乾季で2ヶ月ほども雨がまったく降っていないとのこと。土埃が窓から容赦なく入り込み、また家も木々も家畜も、大地の色に覆われています。そんな通りを過ぎた丘の上に、ようやく学校が見えてきました。
学校への途中1
学校への途中2
学校への途中1
学校への途中2
Rubona小・中学校
校庭に停めたミニバス
Rubona小・中学校
校庭に停めたミニバス

広い校庭の周りにはバナナの木々が、その下にはコーヒーも群生しています。校庭を囲むように校舎が建てられていて、休み時間でしょうか?子供たちが興味深げに私達を見ています。先ずは副校長と短時間の打合せを済ませ、4年、5年、6年生の代表、計50名が待つ教室へ向かいました。

初めに私達の自己紹介の後、最初のパネル(世界地図)から−「私は日本から来ました。日本は何処でしょう?」と質問すると、何人かの生徒が壇上に来て、あちこち指さしましたが、正解者はいません。海に囲まれている、とヒントを出すと、一人の男子生徒がオーストラリアを指さしましたが、誰も分かりません。皆興味津々です。
日本はどこですか?
料理用バナナ生産量は世界第5位
バナナの幹から紙ができる
日本はどこですか?
料理用バナナ生産量は世界第5位
バナナの幹から紙ができる

バナナの幹や枝は実の10倍にもなりますが、殆どはゴミとして捨てられます。でも、手を加えることで大切な資源になります。
「ルワンダの食用バナナ生産量は、世界で5番目に多いこと知っていますか?」と聞き、そして「実を採った後の幹や枝の量は実の10倍にもなり、殆どはゴミとして捨てられています。」と話しました。でもこれはゴミではなく、手を加えることで大切な資源になること。君たちの故郷は、そんな資源の宝庫です、と説明しました。

実習工程 ― 繊維の取り出し
次に、コベパキのチャレスにバトンタッチして、バナナ紙づくりの実習に移りました。とは言っても、彼も初めてなので、サイドから口や手を出してサポート。
校庭で切ったばかりのバナナの木を更にカットして、まず繊維の取り出し方です。スタッフがやり方を示し、続いて生徒達が交代で取り組みました。すぐにできる子、時間がかかる子など色々ですが、完成するたびに大きな手拍手が起こります。
バナナ幹をカット
繊維取り出し1
バナナ幹をカット
繊維取り出し1
繊維取出し2
リズミカルな手拍子
繊維取出し2
リズミカルな手拍子

この手拍手、実は3拍子と2拍子を組み合わせたリズミカルなもので、最後に「ピシッ」と止まるのです。一緒にと試みましたが中々ついていけず……さすがアフリカの子供たち!ですね〜。

実習工程 ― 叩解
「煮る」工程はパネルで説明し、実習は、次の「叩解」工程です。生徒たちは言われるままにハンマーで一所懸命叩きます。その後、「煮ただけ」の繊維と「叩解後」の繊維の双方を見せて、違いを、そして叩く意味を、説明しました。
「煮る」工程を説明
「叩解」の目的
「煮る」工程を説明
「叩解」の目的
力いっぱい叩く
細かく切る
力いっぱい叩く
細かく切る

男子も女子も坊主頭
ちなみに、教室に参加しているのは男子生徒だけではありません。ルワンダでは女子も髪の毛を短く刈り上げます。特に地方では水へのアクセスが困難だったり、頻繁に起きる断水のせいでしょうか? 時に頭髪にシラミが湧いているのでは?と思われる子供もいたり、またカーリーヘヤーのため伸びると収拾がつかなくなるのか?……男女を問わず坊主にしています。それでは男女の違いは何で?「ズボン」か「スカート」かの違いです。
真剣な生徒たち
男子も女子も坊主頭
真剣な生徒たち
男子も女子も坊主頭

実習工程 ― 紙漉き
さあ!いよいよ「紙漉き」工程です。生徒たちは今までの工程からは、紙のイメージが湧かなかったようですが、木枠を使い一枚ずつ漉き上げて紙が出来ることに驚いたのでしょう、我も我もと前に出て来ました。時間の都合で全員とはならず残念でしたが、副校長も前に来て興味深げに生徒達の手元を覗き込んでいました。漉いた紙を板に張り付けると、生徒たちから再び大きな手拍子が起こりました。
「乾燥」と「仕上げ」の工程はパネルで説明しました。
「紙漉き」を説明
上手に紙漉き
こうして出来るのか!
「紙漉き」を説明
上手に紙漉き
こうして出来るのか!
次は私!誰も座っていません
水気をしっかり取って
「乾燥」を説明
次は私!誰も座っていません
水気をしっかり取って
「乾燥」を説明

全員で楽しい「マイ・カレンダー」作り
最後に、事前に用意したカード(カレンダー用に)とペンを全員に渡して、「マイ・カレンダー」を作成しました。

約2時間の授業でしたが、子供たちの心に新たな意識が芽生えたことは間違いないと思います。最後の感想発表では、男子生徒が「こんな物が出来るとは今まで知らなかった。」と、すると先生から「イノベーションだね!」と。また女子生徒は「今後カードを買えないときは、自分で作る。」など、素朴な驚きや、知らなかったことを学んだ喜びが語られました。
これがBPカレンダー
記念のマイ・カレンダー作り
君の誕生日は?
これがBPカレンダー
記念のマイ・カレンダー作り
君の誕生日は?

生徒達の心の片隅に「BP幹のエコリサイクル」「モノづくりの楽しさ」が残れば……。
生徒達は、たとえ授業の詳細は忘れたとしても、「ゴミだと思っていたものから製品が出来た。」、「モノづくりの意味、喜び。」などについては、心の片隅に留め、育んでくれるものと期待しています。校長に挨拶し、多くの生徒に見送られて帰路につきました。
今回、初めて教えたスタッフ達も、生徒達の感動や反応を直に受け止め、多くの事を感じたものと思います。今後11回続けられるワークショップを通して、次代を担う生徒達の心に、実習授業の意義が少しずつ広がることを願ってやみません。
バナナ幹のエコリサイクル
HAT&コベパキありがとう
また来てね!
バナナ幹のエコリサイクル
HAT&コベパキありがとう
また来てね!