“依存”から “自立と拡大”へ Step up!
そのカギは “TIN-code”!

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※当レポートは、拙著「ルワンダに灯った希望の光 - 久美子のバナナ和紙」(2017年3月出版)http://hat.site-omakase.com/html/book.html の続きとなります。

〈 ルワンダ訪問 8/29~9/11/2019 〉  

ルワンダでビジネスを展開する際には、TIN-code(納税者番号)の取得が必要であると、前回の訪問時(2019年5月)に判明しました。その為には、協同組合または会社のいずれかを設立する必要があります。しかし当初目指したルレンゲでの組合設立には、構成するメンバーの技量が大きく異なり、収入を均等に分配するとの規約には添えないため、申請書の作成まで進めましたが叶いませんでした。そこで今回は、現地会社の設立を目指しての訪問でした。  

★まずメディア(ラジオ、YouTube)を活用して、BP製品をより多くの人達に知らせたい

スマホが普及しているルワンダで、より多くの人達にBP製品を知ってもらうため、新たに以下の動画をYouTubeにアップしました。これをTVと比べて普及率の高い「ラジオ」で宣伝し、「スマホの画面」で見て欲しいとの目論見です。
https://www.youtube.com/watch?v=rSp9UERX1FU&feature=youtu.be
そこで、ルワンダに到着した翌日、キガリの日本大使館でアドバイスいただいた、国営「ラジオ・ルワンダ」の担当者と会い、また帰国前日には、ルワンダで一番人気の高いラジオ局「Kiss-FM」のオフィスを訪ねました。

 ラジオ・ルワンダは、当初聞いていた「国営なので、多少安価でしょう」との情報に反し、示された予算額に驚きました。一方Kiss-FMでは、担当者にYouTubeを紹介すると、彼女は「週3回流す料金で、特別に5回流しましょう! でも1カ月では意味がないので、少なくとも3カ月は続けないと」との提案でした。そのためにも、製品の販売(納品)体制を固めた後に依頼したいと考えました。

★ルレンゲの工房に1週間滞在。新製品の作り方を教えるとともに、協力体制について話し合う

キガリからバスで3時間のキブンゴを拠点にして、9/2より毎日ルレンゲの工房に通いました。新製品(参照:YouTube動画)の作り方を教えると同時に、 「ルワンダ・バナナペーパー・プロジェクト」、つまり女性達を含む「チーム」としての製品づくりを進めたいと考え、スタッフ達と話し合い行動を共にしました。
しかし、仲間と収入を分かち合うとの考えは、彼らにはなかなか受け入れられない課題です。例え注文が増えても、私が不在の場合、女性達に仕事を依頼・分配することはないと考えられます。
それでも、滞在中にあえて男性と女性との分業を試みました。もし大きな、急ぎの注文が来た場合は、女性達のサポートは助かるはずです。そんな協力姿勢について、理解して欲しかったためです。

ビジネスの基本的な考えを確認

商品を沢山買ってくれる場合は値引きもあり得る。またキガリで販売する際は、高い交通費がかかるので、同じ商品でも価格差を付ける。品物を置かせてくれるお店を探す(当たっていく)。置かせてもらえるお店には、売れたときは出来高払いでマージンを払う…等々についてです。
また、売上金は全て使うのではなく、材料、交通費等の経費を引いたものを、初めて「収入」とすると、基本的な収支の考え方、計算方法を伝え、自作の簡単な現金出納帳、商品在庫帳を渡して、記入方法を教えました。この事務はパトリックが担当するとしました。

店舗訪問も一緒に!

現在は Kigali Farmers' & Artisans'Market での販売のみですが、地元キブンゴでもプロモートしようと、製作したシーリング用の傘、ハンディライト、またイヤリング等を数点持参し、ロバート、ガサナそしてパトリックを伴って、まずバス通りのバーを訪ねました。こうしたマーケット開拓は、彼らにとって恐らく初めての経験でしょう。でも彼ら自身でマーケットを開拓して欲しい!それが今後の鍵になるからです。
バーには、天井から裸電球が下がっています。突然の訪問でしたが、店の人は「政府から裸電球は目に良くない、何かでカバーしたほうが良い」と言われていると、興味深そうに製品を見ながら、皆の説明に耳を傾け、後で連絡するとの返事でした。
またキブンゴの中心地に知り合いの店があると、ロバートとパトリックが言い出し、双方の店を訪ねて製品を説明すると、その場で快く製品を扱ってくれることになりました。
ここキブンゴでは、キガリと同じ価格では販売できません。キブンゴ価格については、彼ら自身で決めることですが、大変気を良くしたロバートとガサナ達は、これからもプロモートすると意欲を見せていました。

★「ルワンダ・バナナペーパー・プロジェクト」を、現地企業としてRDB(ルワンダ開発局)で登録

キガリに戻り、Kiss-FMを訪問する前に、今回の主な訪問目的である登録手続きをするため、代表者となるGasanaそしてPatricと一緒に、RDB(Rwanda DevelopmentBoard)を訪問し登録しました。インターネットでの登録が可能との事でしたが、生憎何度トライしても叶わなかったためRDBに出向きました。ようやくTIN-code を入手でき、これで宣伝また販売が可能になります。5月からの懸案事項がようやく叶い、「さぁ!次は?」と喜んだのが帰国前日でした。

★ところが、登録した翌日にキャンセルしたいと!

ところが9/10、帰国当日になって、Patricから「3人の代表者の一人Robertが会社設立に反対し始め、さらにGasanaもキャンセルして欲しいと言っている」と伝えてきました。そして「今まで通りの方が良い。久美子が代表者になって欲しい」とのことです。これには流石に驚き、「私は日本に居るので難しい。もし会社として、少しでも自分たちでマーケットを開拓しよう!との姿勢であれば、継続して応援する」と、何度説明しても聞き入れません。はてさて!どう対応したら良いか戸惑いました。このTIN-code は、ムギシャもセルセも取得しているもので、年間の税金額は$100ほどとの事。「税金はHATが応援する」と説明しましたが、彼らの気持ちは変わりません。

 帰国後、会社登録をキャンセルすると決定をした彼らについて、ずーっと考え続けました。今まで必要な道具や材料を現地に運び、作り方を教え、彼らは既に高い制作技術を身に着けています。あとは会社を登録してTIN-code を取得すれば、好きな様にデモンストレーション、販売が出来る・・・!との願いは、彼らには、ハードルが高かったのか?
「久美子に言われる事はするが、自ら行動を起こすことは望まない!」ということなのか?
いずれにしても、彼らの本心を理解していなかった、また現地に毎回10日ほどしか滞在できない状況下では、無理なのか? 甘く考えていたのでは?等々・・・痛感させられました。

★レミゴ・ホテル内のショップがBPイヤリングをまとめて購入、中華レストランALINKでも。今後もKFAMでの販売を継続

それでも、昨年6月から毎月参加している 「Kigali Farmers & Artisans Market (KFAM)」 での製品紹介また販売を通して、今月(10月)はレミゴ・ホテル内のショップが、BPイヤリングをまとめて購入してくれたとの報告を受けました。また、キガリの中華レストラン「ALINK」で、委託販売をお願いしていますが、お客様が「ハンディ・ライト(小)と(大)を購入された」との連絡がありました。

 ようやく少しずつ認知されつつあるBP製品ですが・・・・TIN-codeを持っていない彼らには、さらなるプロモーションは困難です。この点について、彼らはどの様に考えているのか?プロモーションする意思はあるのか? 帰国後何度か確認しましたが、「キャンセルして欲しい」の一点ばりです。毎月のKFAMでの販売は続けられるよう手配していますが、それ以上は考えないのか?少し静観して彼らの考えを見守りたいと思います。  

★新たな地域でバナナペーパー・プロジェクト

実は、帰国後すぐに、Musanzeというキガリから北のゴリラの生息地で、「Red Rock Rwanda」 というエコ・ツーリズムを推進する団体の代表者から、バナナペーパーの作り方を、地域の女性達に教えて欲しいとの依頼がありました。作ったバナナ紙やBP製品を、観光客に土産品として販売したいとの要望です。 BPプロジェクトを開始してから、ルワンダ国内で5カ所目となるMusanze、新たな気持ちで取り組みたいと考えています。