2023年3月

バナナ布パッド(BKP)プロジェクトの新たな試み ―先生達とのセッションミーティング、そして生徒達が自ら作る―

※写真をクリックすると拡大します。

BKPを、より多くの生徒達に届けるにはどうしたら? 

前年2022年10月にルリンド郡内3校へ、BKPを各60セット(一部55セット)ずつ贈呈し、その後実施したアンケートで、各校ともプロジェクトの継続を要望する声が強かったことから、さらに多くの生徒達に届けるにはどうしたら?と、今後の支援のあり方について考えました。3校へ贈呈したBKPセットは、キガリの縫製組合に依頼して製作しましたが、様子を見に行くと、完成していないにも拘わらず、縫製代金を引き上げて欲しいと要求されました。そんな彼らの姿勢に、このまま依頼を継続するのは難しい、より多くの生徒達に届けるにはどうしたら?支援の在り方を考え直す必要があると感じました。
そんな時、最初に贈呈した3校のうち、1校で、スタッフがBKPパッドの使い方を説明している写真が届いたのですが、教室内にミシンが置かれている写真がありました。もしや家庭科の授業は有るのかな?無いと聞いていたけれど。そして、もし無くても生徒自身が手縫いで作れるのではないか?バナナの木々も周辺に群生しているし・・・そうだ!学校で教師が生徒達に、BKPセットの作り方を教えることはできないだろうか?と思いつきました。
そうすれば縫製組合に支払う比較的高額な縫製代金を、より多くの生徒達の材料費に充てられます。女性にとって大切な毎月の生理。ナプキンが買えずただ嘆いている彼女らに、「解決策を自分で考えよう!こんな方途もあるよ!」との、アイデアの提供になれば、またそこから「必要な物は自身で作ろう!との姿勢を学んでくれたら!」その様に考えました。

先生が作り方を教え、生徒達が自分で作る

作り方はいたって簡単。パッドは現地では少々高額なネル地を使い、肌に当たる中心部分が9枚の厚さになる様に畳み方を教えます(縫わない事で、水を十分に使えない彼女達でも、洗濯が楽にできます)。さらにバナナの皮をストッパーとして使い、後はパッドを支えるホルダー、そして収納ケースと、いずれも簡単な手縫いで作ります。
ただし、その後判明したのですが、教師の一人から「生徒達は針の持ち方も知らない。殆どの生徒は、私(教師)の手の動きをジッと見ている」とのコメントがアップされ、実情も見えてきました。でもそうであれば、BKPプロジェクトは、生徒達が基本的な裁縫スキルを学ぶ機会にもなると思います。
もう一点分かったのが、ルワンダの学校ではカリキュラムが多いため、教師の負担が大きいのではないか?教師が授業の合間に作り方を教えることは可能だろうか?との点です。
当初はBKPセットを贈呈するということで、プロジェクトを開始しましたが、第2段階では大きな方向転換です。ルリンド郡教育課ではどの様に受け止めるだろうか?変更は可能だろうか?等々心配し、まずはルリンド郡の担当官に相談する事にしました。すると有難いことに前向きな返事が返ってきたのです。

3月2日 15人の先生達とセッション・ミーティング

さぁ!いよいよ第2段階目のスタートです。教育課の担当官とは1月末から話合いを進め、「対象校は15校に決まった。そして15校の教師達に作り方を伝えるセッション・ミーティングを、3月に開催します」と伝えてきました。予想以上の郡の有難いリアクションに感謝しかありません、2月20日に日本を発ちました。
15校の教師達に配付する各型紙、布の裁ち方&ナプキンセットの作り方を写真付きで説明する手引書、そして1セット分の材料一式を日本から持参しました。
3月2日、郡庁近くの学校に15校の教師達が集まっていました。司会は教育課の担当官です。まず相互に自己紹介し、日本から持参した一式を各参加者に配付し説明しました。初めは私も教師達も緊張気味でしたが、次第に打ち解けて相互に教え合ったり、質問が出たり、和やかな雰囲気のなか進みました。そして何よりも教師達が笑顔で「BKPセット」を評価し、受け入れている様子が伝わってきました。2時間ほど時間を共にしただけでしたが、打ち解けた感じの参加者達と、終了後記念撮影に収まりました。
そして会場だった学校近くの銀行から、各校の経理担当者宛に夫々100人分の材料費を送金しました。

WhatsApp プラットフォームを設定してもらい、進行状況や情報を共有

こうしてセッション・ミーティングは無事に終了し、私はすぐ帰国しましたが、果たして参加した教師達は完全に理解できただろうか?質問や意見などある時はどうしたら?彼らとコンタクトできる方途は無いだろうか?と考え、郡の担当官に相談すると、有難いことに、彼は参加した教師全員+校長+郡教育長および担当官など、30名ほどが参加するWhatsApp プラットフォームを設定してくれました。そのお陰で各校でのプロジェクト実施状況がタイムリーにアップされ、また教師達が相互に励まし合ったり、質問したり etc., 日本に居ながら教師や校長先生達と話し合いながら、同時進行で取り組むことが可能となりました。