「バナナの紙が仕事をつくる」- 希望の灯を更に明るく

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※当レポートは、拙著「ルワンダに灯った希望の光 - 久美子のバナナ和紙」(2017年3月出版)http://hat.site-omakase.com/html/book.html の続きとなります。
年明け早々、ルワンダを訪問しました。(2018/1/7~1/15)(16回目)
短い滞在期間でしたが、次に繋がる確かな手ごたえがありました。

JICAルワンダ事務所が、グリーティング・カードにバナナペーパーを採用

昨年末JICAルワンダ事務所の「グリーティング・カード(400枚)」に、バナナペーパーが採用され、ルワンダ政府の閣僚や在ルワンダの各国大使など主要な方々の手元に、バナナペーパー・カードが届けられました。その作業に携わったアーティスト達は、「BPプロジェクトはすごい!」と今まで以上に盛り上がっており、今回は「そんな彼らの気持ちを更に次に繋げたい」との思いで訪問しました。

アーティスト達から「コーペラを作りたい」との声が。

キガリ到着後すぐに、セルセおよびムギシャと8ヶ月ぶりに打合せ。そこで彼らから「BPのコーペラ(組合)を作りたい。」との意見がでました。彼らの意欲は嬉しかったものの、代表は誰に?そして会計等の運営スタッフについてはどの様に考えているのか?等、常駐していない私には、簡単には喜べない要望でした。

日本大使館訪問、BPのコーティングを教える、JICA事務所訪問、そしてブレンダー購入

翌日午前、日本大使館を訪問し、宮下孝之大使にご挨拶しました。大使はBPプロジェクトに大きな期待を寄せていただきました。
午後、アーティスト達に、訪問目的の一つである、ルワンダ国内で入手可能な材料を使った「紙質強化のためのコーティング」について伝え、異なる材料を使って仕上がりを確認。夕方には、JICA事務所高田所長、スタッフの皆さんに御礼を述べるため、同事務所を訪問しました。
そして、その足で、翌日訪問するキブンゴのBP生産所で使うブレンダーを買うため、ムムジ(タウン)に向かいました。先ず、タウンで一番大きなお店で、フィリップス社製の大型ブレンダー(かつて、“コベパキ用”に購入した経緯があります)を探しましたが、並んでいたのは全て中国製。すると店員さんが近くの電器店を紹介してくれました。しかし、並んでいたのは中東や中国製のみ。中国製品が欧米製品を駆逐したということでしょうか。止む無く1台買いました。
タウンからの帰途は、帰宅ラッシュ時のため、来るバスどれもが満員で乗れません。何台かが通り過ぎた頃、近くの人が「パークへ行くように!」と教えてくれました。示された方向を進みながら「パークは何処ですか?」と聞きつつ、たどり着いたのは新設されたバスターミナルでした。がそこには目的地別に長い列ができており、大きなブレンダーを抱えての帰宅(ホテルへ)は、少々大変でした。実は、今回初めて経験しましたが、バスに乗車するにはときは、現金ではなく、プリペイドカードを使用するシステムになっていました。日本のPASMO(パスモ)の技術が導入されたとのことです。

キブンゴの宿泊ホテル(St.Joseph)にBPランプシェードを展示

翌朝、キブンゴ(キガリから東南)へ向けて長距離バスに乗りました。以前の所要時間は約2時間でしたが、交通事故が多発したからでしょうか?スピード規制が敷かれ、時速60㎞以上のスピードで走ることは禁じられたため、3時間かかりました。
まず定宿の St.Joseph(セント・ジョセフホテル) に、生産現場(ルレンゲ・セクター)のロバートとガサナに来てもらい、同行したアーティスト達と、現状また今後について、話し合いの機会を持ちました。
St.Joseph は、2016年に訪問した時は増改築中でしたが、今回は見違えるほど素敵に完成していました。お湯も出るとのことです。でもアーティスト達も宿泊したため、今回も古い部屋に宿泊。やはり、水・お湯とも出ず、水の入った重いポリタンクが置かれていました。
まずは支配人に会い、持参したランプシェードをカウンターに置かせて欲しいと依頼すると、快く引き受けてくださり、早速スイッチON!気に入ったようで、同行した製作者の一人ムギシャに色々質問していました。夕方には宿泊客の一人が「いいねえ!欲しい!どこで作っているのですか?」と、早速嬉しい反応です。

BPランプシェードの製作、および展示(販売)場所の確保が課題

実は、この質問「どこで作っているのですか?」は、バナナペーパーやランプシェードへの認知が少しずつ広がるのに伴い、キガリでも良く聞かれるようになりました。キブンゴの工房が無くなった後は、キガリのウブランガ・アーツスタジオを拠点にして、と思っていたのも束の間、同スタジオは閉鎖され、アーティスト達は主に自宅で作成しています。何とかしなくてはならない課題です。

“バナナの里”キブンゴのルレンゲ・セクターを訪問

いよいよルレンゲ・セクターのBP製作現場へ。長距離バスの停留所からバイクタクシーで15分ほど登ったり下りたり。バナナの木々に囲まれたロバートの家に着きました。
今回はロバート、ガサナの2人に加え、BPコースの卒業生ジミーと、ガサナの奥さんとの4人が待っていました。新たにA3サイズを作るために木枠作りの確認と、その他、いかに紙質を向上させるかなど、質問や要望など、諸々話し合いました。そこでの話し合いでも、「自宅での作業は何かと手狭なので、作業所を作って欲しい」との要望がでました。
皆との作業後は、美味しいバナナ料理とビールに舌鼓。ちなみにこの料理用バナナは甘くなく、蒸す?又は茹でて?トマト、玉ねぎ、ピーナッツをすり潰して作る、淡いオレンジ色のソースをかけて熱々をいただきます。「いや~とっても美味!」ご馳走様でした。

日本大使館にBPクラフトを贈呈、またベルギー大使館を訪問

実は私の帰国後に、2人のアーティスト達に、BPランプシェード、および複数のカードを一つの額に収めた作品を、宮下大使に届けるよう依頼しました。大使は届けられたそれらBP作品を大変喜ばれ、自ら私に、そしてアーティストへもメールを書いてくださいました。このメールに製作者のアーティストは大発奮!「色々な人達に、これほど喜んでもらえるなら、もっと頑張る!沢山作る!」とのメールも届きました。

また、ベルギー大使夫妻からもご招待いただきました。ちなみに、大使夫人は日本人で、折り紙をこよなく愛され、ルワンダでも子供たちに日本文化を紹介する活動をされています。大使夫人がBPに関心を持たれたことがきっかけで、アーティスト達と一緒にディナーに呼んでいただきました。アットホームな楽しい一時は、彼らにとっても今後の励みになったものと思われます。