ルワンダ・バナナペーパー(BP)協同組合(Cooperative)発足に着手

2019.05.30津田久美子 ※写真をクリックすると拡大します。
※当レポートは、拙著「ルワンダに灯った希望の光 - 久美子のバナナ和紙」(2017年3月出版)http://hat.site-omakase.com/html/book.html の続きとなります。

2019/5/ 11~23 ルワンダ訪問(20回目)

今回の訪問は、①新たな販路(取り扱い店舗)の拡大 ②キブンゴ・ルレンゲセクターBP工房での雇用拡大およびBP新製品の製作を目指しました。

★ メディア(ラジオ、Youtube)を活用して、BP作品をより多くの人たちに知らせたい!

2018年6月から約1年間、KFAM (Kigali Farmers’ & Artisans’ Market) に参加していますが、毎回集う人たちは、主に外国人など限られた人たちです。BPクラフトの新製品をより多くの人に知らせるにはどうしたら?………。他の方法を考える必要性を痛感していました。

今回は、新製品の完成に伴い、改めてRwanda Banana Paper Project として現地スタッフの活動またBP作品を多くの人たちに紹介したいと考え、メディアによる広報宣伝を思いつきました。ルワンダの都市部また周辺でも、スマホが定着しています。まずラジオでスポット的に呼びかけ宣伝をして、同時に連動して視覚で訴えるYoutubeの画像を見てもらおうと考え、出発前にYoutubeの動画2本を制作しました。制作にあたっては、HAT発足以来、大変お世話になっている飯塚達也さんのご尽力でプロの方にお願いしました。

Youtube動画(2本)は下記の通りです。なお、BP製品を取り扱う商店、また注文受付用のコンタクト情報は、今後追加してまいります。 ご覧いただければ嬉しいです。
https://www.youtube.com/watch?v=sl96QXUMfkw
https://www.youtube.com/watch?v=5NKpUCa-YfQ 

到着翌日、ラジオ局について尋ねるため大使館を、セールス・コーディネーターとして活動をはじめたパトリックと共に訪問しました。大使館では、国営ラジオ局Radio Rwandaの担当者はじめ、その他数局が記載されているリストが用意されていました。Radio Rwanda へは、大使館の担当官がまずコンタクトを取り、橋渡しをしていただきました。まずリストにあった Kigali Todayというラジオ局を訪問しました。担当者にYoutubeで活動内容を説明し製品を紹介すると、驚いた様子で「知らなかった。素晴らしい!」と、特に「このイヤリングが欲しい」といった反応でした。その後、紹介された店舗(BP製品取り扱い依頼)を訪問したあと、Radio Rwanda は、キブンゴ支局の担当者と会うようにとのことだったため、そのままキブンゴに移動しました。

★ 販路拡大には、コーペラ(組合)設立が急務

キブンゴに到着後、今年からKFAM で自身のBP作品を販売し始めた、コベパキのチャレス、そしてパトリックと話し合いました。私は、いかにプロモートするかについて話し合うつもりでしたが、チャレスから 「まず、コーペラ(組合)か会社のいずれかを設立しないと、個人では、特にキガリのホテルや店舗とは取引できない」との説明です。つまり組合か会社の設立後に授与されるTIN(ティン)ナンバーを入手する必要があるとのことでした。

 当初考えていたラジオによるプロモーションは、組合設立後に改めて活用すれば、それこそ“Rwanda Banana Paper Cooperative ”のお披露目となり、新たなスタートを切ることが出来ます。
私の滞在中に組合設立の手続きは完了出来るかどうか? その点について精通していると思われた、人脈も豊富であろう、コベパキのセクレタリーでもあるチャレスに尋ねると、「可能だが、自分は忙しいので21日(火)でないと動けない。次回の訪問時で良いのではないか」 との反応です。
でも「次回は永遠に来ないかもしれない。私もいつ死んでしまうか分からない(これは半分冗でしたが)」と言うと、チャレスは少し考えてから 「分かった!まず10名の署名を集めて、時間をとれる火曜日にセクターとディストリクトの両事務所で許可をとり、その足でチャレス共々キガリの政府担当局に行って、書類を提出しよう」という事でした。ちなみに、私は翌日22日(水)の午後に帰国予定です。

★ 実際に、キブンゴ・セクター事務所で手続きを進めると

21日朝、チャレスとセクター事務所に09:30頃着きました。朝の開始時間は07:00との事ですが、多くの人が事務所の外で待っていて、担当官のオフィス・ドアーは閉められたまま。聞くとミーティングの様です。ようやく開始したのは10:00前。まず主旨を話すと・・・
①「セクター内には既に手工芸品販売組合(COVEPAKI)が有るため、それ以上は認められない」と。これに対しては「あくまでもバナナペーパー・プロダクツのみで、COVEPAKIの製品とは異なります」と説明しました。
②さらに担当官から「COVEPAKIのセクレタリーであるチャレスは、Banana Paper Cooperative代表との兼務はできない」との事。当初チャレスは"兼務は可能でNo problem”と言っていたのですが。するとチャレスから「自分はCOVEPAKIのセクレタリーを辞めてメンバーになるので大丈夫」と説明。かなり事なかれ的な方法で、話が進みました。
③最後に担当官から、組合員全員が集会して署名する、そして全員が承認する5~6項目の確認事項などが記載された2ページの申請書類が渡されました。つまり組合員の顔合わせと申請書類をすべて記入した後、それを持参して改めて申請するようにとの事でした。

★ チャレスの‟ No problem”を信頼できず、独自に「ルレンゲ・セクター」での申請を目指す

チャレスから聞いていた状況は、すべて違っていました。また、滞在中での申請手続きも難しくなりました。私は、①チャレスがセクター内に一件のみ存在するCOVEPAKIのセクレタリーを辞めることは、受け入れがたい(実際にはわからない)、また、②彼から「手続き費用として、かつては100,000フラン(約$110)必要だった」と要求された準備費用の金額について、その他、③政府の税金担当のオフィスと直接繋がっているキャッシング・マシンを購入する必要があるとして要求された代金($250)についても、果たしてそうなのか?と疑問を抱きました。 

徐々に見えてきたことは、手続き費用100,000フランについては「交通費+組合員が集合する際の飲み物代」(実費)であったこと。さらに現地に滞在されている加藤まさ子さんから、「年間240万フラン以上の収益のあるコーペラ以外は、そのキャッシング・マシンを購入する必要がない」とアドバイスをいただき、なおかつご親切に、「丁度、明日COVEPAKIの近くに行くので」と、チャレスから$250を受け取り、彼女の友人であり、私もお世話になっている、日本大使館のドクター渡辺久美子先生に預かって頂くとの連絡が届き、先生からも後日お知らせいただきました。 

ここまでは、チャレスは組合設立の手続きについて、実は良く知らなかったのでは?と考えようとしましたが…。しかし、私の帰国後すぐにパトリックから、「チャレスから『BP製品をCOVEPAKIで紹介する。COVEPAKIのミーティングにも参加するよう』に言われた」との連絡がありました。
これで、チャレスまたCOVEPAKIの意図、つまり新たに完成したハンディ・ライトやイヤリングなどのBP製品を、COVEPAKI作品として販売?、またはBP工房をCOVEPAKIの配下に置くつもりでは?等の思惑を感じ、慌ててパトリックに、COVEPAKIでの紹介またミーティングには参加しないように伝え、チャレスには、組合の設立準備の中止、および交通費や諸経費を引いた手続き費用(約80,000フラン)の返還を要求しました。しかし、彼は「今度久美子が来て話し合いするまで、お金は返さない。何が問題なのか分からない」の一点張りです。COVEPAKIとは以前も工房の立ち退き金の事で悲しい思いをしましたが、私が甘かったのでしょうか?

★ ルレンゲ・セクターのBP工房で、女性たちにアクセサリー作りを教える

今回の訪問目的の他の一つは、ルレンゲ・セクターに造った工房で、新たにアクセサリー作りを教えることです。まず3人の女性達にと伝えていましたが、当日になり4人来ました。ノート・ペン・定規など3人分しか用意していなかったのですが。
初めにバナナペーパーを使った、イヤリング、ペンダント用の袋づくりです。ところがハサミ、まして定規など使うことがないのでしょう!かなり難儀している様で、まっすぐには切れません。それでも4日間かけて、ペンダントとイヤリングを一通り作りました。販売できる品質ではありませんが、自分で作ったペンダントを付けて、「ハイ、パチリ!」(左から、ジャネット、ジュラリディーン、シャンタール、ジェネネ)
最後に感想を求めると、異口同音に「以前使ったことがなかったハサミや定規の使い方を知ったし、今後もっと学んでいきたい」と。
傍らで共に学んでいたロバートとガサナ達、実は昨年8月に初めてペンホルダーの作り方を教えたのですが、当初は定規もうまく使えず、布を切るのも、ノートに記録するのも、すべて難儀していましたが、今や技術も上達してハンディ・ライトなどを見事に作ります。そして、イヤリングやペンダントも、私の予想を超えた素敵な作品が完成しました。
これはロバート作のペンダントと、ガサナ作のイヤリング2種類です。ルワンダ人のセンスで、素敵な作品が生まれることが願いですが、何とか実現しそうです。そして女性達の良き先生としても働いてくれることと期待しています。