カンボジアが歩んできた悲惨な歴史
旧知の間柄のような笑顔、どこかで会った様に感じられる人達、初めて訪れたカンボジアから、そんな優しさや親近感を覚えました。
「カンボジア」と言えば「アンコール・ワット」、負の遺産では「ポル・ポト率いたクメール・ルージュ」などを思い出しますが、その歴史は、植民地支配や東西冷戦、また隣国のタイ(シャム)・ベトナムなどからの侵略や外圧、そしてその結果起きた内紛と、内外の相克に翻弄され続けてきました。
プノンペンの王宮
プノンペン市内、朝の雑踏
悲惨な歴史と言えば、HATが最初にバナナペーパー製作を始めたルワンダも、20年前に約100万人のツチ族が虐殺され、今なお大きな傷跡を抱えながら、国家再建に取り組んでいます。 「バナナペーパーを作る」国が、いずれもGenocideが起きた国である、という点は、全く偶然ですが、何か不思議な思いを感じます。
ルワンダではキガリをはじめ、各地のメモリアルセンターや教会に、遺骨や遺品が収められていて、悲劇を風化させまいとしています。
ルワンダ・ニャマタ教会納骨室1
ルワンダ・ニャマタ教会納骨室2
カンボジアの、世界を震撼させたポル・ポト政権(1975〜1979)による百数十万人とも言われる大虐殺(Genocide)、生存する戦犯の裁判は今も行われています。
BP作りの合間をぬって、Genocideメモリアルである、プノンペン市の「トゥール・スレン博物館」と、「チュンエク大量虐殺センター」(市郊外約15q、全土で300余りのキリング・フィールドの一つ)を見学しました。
戦慄で言葉を失った 「トゥール・スレン博物館」
1975年、ポル・ポト率いるクメール・ルージュは首都プノンペンを陥落し、市民に歓呼の声で迎えられました。それまでの内戦が終結し、人々は新生カンボジア建設を期待したのです。
しかし、それは3年8カ月にわたる悪夢のような地獄の始まりでした。
トゥール・スレンにあった学校を収容施設(刑務所)に変え、スパイ容疑をかけられた人および家族は、厳しい拷問を受け、2万人が虐殺されたと言われています。(現在は、博物館)
逆さ吊りにして汚物桶に頭を突っ込み気を失わせる、四六時中手足を繋いだ錆びた軛や鎖、独房の拷問時の鉄製ベッドなどが、当時の様子を生々しく伝えています。 また犠牲者の写真が各部屋の壁いっぱいに掲示されていて、胸がつまりました。何故これほど酷い事がなされたのだろうか?
博物館入口
足吊り拷問台
拷問時の鉄製ベッド
四六時中、付けられた軛や鎖
犠牲者1
犠牲者2
「キリング・フィールド (チュンエク大量虐殺センター)」のオーディオツアー
チュンエク村のキリング・フィールドには、トゥール・スレン刑務所に収容された人々が運ばれ、処刑されました。発見された時、無数の人骨が重なって埋められていたそうです。
現在、刑場跡は慰霊の地となっています。訪れた人々は音声ガイド(15ヶ国語)から流れる残虐非道な処刑の状況に、皆一様に強ばった表情、無言で順路に沿って進み、最後に数千人の遺骨が収容されている慰霊塔の前で祈りを捧げます。
カンボジアの暗黒、闇の事跡が、オーディオを聞きながら、次々と目前に迫り、あまりの残酷さ、非情さに涙をこらえることが出来ませんでした。
キリング・フィールド慰霊塔
遺体が重なって埋められた1
遺体が重なって埋められた2
今でも人骨や歯が
子供の頭を打ち付け殺戮したキリング・ツリー
慰霊塔納骨室
何度でも訪れたい「アンコール・ワット遺跡群」
アンコール・ワットを紹介したホームページ、ガイドブック、解説書は溢れています。訪れた経験を持つ方も多く、初めて見学した私たちが逐一ご紹介するまでもありません。
今回は、BP作りの合間に、一日だけの超駆け足コースで、アンコール・ワット、アンコール・トム(バイヨン)、そしてタ・プロームの3カ所を回りました。
同行してくれたのは、山勢さんとカンボジア女性・カーニャさんです。カーニャさんは、とても博学で、いずれの場所でも、深く掘り下げて解説してくれました。特に、当時の王がヒンドゥー教と仏教の宗教的対立を避け融和に腐心したことが、壁面彫刻や彫像に表れている、と話していました。
第2回廊へ
第3回廊への階段
レリーフを解説するカーニャさん
人々の暮らしが生き生きと刻まれたレリーフ
観世音菩薩の四面塔
回廊を覆うガジュマルの大木
カンボジアの文化や魅力をバナナペーパー・クラフトに!
この地で作るバナナペーパー・クラフトは、カンボジア人の歴史や文化を投影する、魅力溢れるデザインで、手にする人々を魅了するような、そんなバナナペーパー作品となることを祈ってやみません。
山勢さんは、作業所のあるアンルンピー村で、すでにスタッフを雇って生産を開始しています。 HATは、カンボジアで産声を上げた「カンボジアのバナナペーパー」が、村人が自国の文化に誇りをもって生産する、素敵な作品となるまで、可能な限り応援したいと思っています。
アプサラのレリーフ
(アンコール・ワット)
ハスの花