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2015年9月に続き、11/11〜19、ルワンダ・キガリを再訪しました。目的は;
1 キガリのUburanga Arts Studioのアーティスト達に、バナナペーパー(BP)作りの工程を教える。
2 目前に迫った]マスバザーに出展する、「BPランプシェード」の仕上げ作業。
3 キブンゴのBP新チームへの応援 です。
 ※前回の訪問およびAugustinと7人の画家が所属するウブランガ・アートスタジオについては、9月レポート
◆ キガリでもBP生産開始か? http://hat.site-omakase.com/html/rep151013_02.html をご覧ください。

ルワンダは雨季を迎えていました
雨季のルワンダは、1日のうち曇っている時間が多く、ポツンポツンと大粒の雨が落ちてくると、数分後にはドシャ降りになり、それでも10分ほどで上がります。それが1日に数回繰り返される感じです。雨が空気中の塵を洗い流すため、晴れ間に見える透明感は一際美しく草木を輝かせます。キガリに到着した時は、まさにそんな夕暮れ時、夕日が沈む前の眩しい光景でした。
日用品や電気製品の殆どを国外から輸入
ルワンダではスーパーで使う紙袋もウガンダ製、日用品や電気製品の多くを、ウガンダやケニヤなどの隣国から輸入しています。資源また各種製品に乏しいルワンダでは、いかにリサイクルするか?との意識がひと際強いと、今回あらためて気づきました。アーティスト達の作品やアクセサリーにも、使用済みの歯ブラシや、瓶や缶の蓋が使われたりしています。
ルワンダ産「BPランプシェード」
そんな中で「全てルワンダの材料で作るランプシェード」との視点で、アーティスト達は「バナナ紙」に高い感心を寄せています。今回彼らに会うのは2度目ですが、9月の訪問時に伝えたBPスタンドの製作に、意欲的に取り組んでいました。彼等は「素敵なアイデアを教えてくれて感謝している、BPスタンドを欲しいとの声が多く寄せられている。」と話し、熱い思いで迎えられました。
ただし当初目指した、伝統的なバスケット(アガセチェ)とのコラボは、女性達の要求金額が余りに高く、今回は断念せざるを得なかった、とのことです。
医療関係の学生12人が、BP作りを学ぶ。中にジェノサイドの孤児が……
バナナペーパー作りの2日目には、薬剤師や看護師また理学療法士などを育成するUniversity of Rwanda College of Medicine and Health Sciences Nyarugenge Campusの学生12人が加わりました。
そんな学生達がなぜバナナ紙の作り方を?一人の学生に尋ねると、「卒業しても目指す分野への就職は大変困難で、学校として異なる業種を学ぶ機会を設けている。」との事でした。確かに、病院や医療施設の数は限られ、彼らの雇用機会は大変厳しいようです。

BP作りの実習をしていく中で、工程についての質問のほか、バナナペーパーの用途についてなど、実用化に関する真剣な質問なども寄せられました。学生たちの中には車椅子の生徒や身障者も、またジェノサイドで孤児になった生徒もいて、1人の女性は「私は22才で、10ヶ月の子供を友達に預けて学んでいます。」、「家族は?」、「父母は20年前のジェノサイドで亡くなり、連れ合いとも別れ、一人で子供を養育しなくてはならないため、何とか勉強して仕事を得たい。」と、涙を浮かべながら、苦労した生い立ちを話してくれました。
厳しい就職先の実情と併せて、ルワンダ社会の一端に触れた思いがしました。
ちなみにスタジオのアーティストの1人も孤児で、「転々と預けられて辛かった。でも今はスタジオの皆が家族です。」と話していました。ジェノサイドの時に、家族でタンザニアやブルンディなどの隣国に逃れ、落ち着いた頃に帰ってきた若者達は、それぞれの国で学んだスワヒリ語などの言語が流暢だったりします。
そういえば、紙漉きが一番上手な、キブンゴのバナナペーパー・スタッフのエルネスティンも孤児です。
キブンゴのBPチームと再会。バナナペーパー・クラフトの売り込みに意欲的でした。
キガリでの2日間のバナナペーパー作りの実習を終え、翌日はキブンゴのCOVEPAKIで、バナナペーパー製作スタッフとして働いていたジャネットとエルネスティン、そしていつも通訳としてサポートしてくれたアブラハムの3人に、キガリとキブンゴのほぼ中間地点「ルワマガナ」で再会しました。オーガスティンもキガリから同行しました。

キブンゴからの3人は、COVEPAKIの近くに店を出し、自分たちでバナナペーパーの生産を開始しているとのこと。以前はCOVEPAKIに依頼され仕事をしていましたが、現在は自分達で、地域でのマーケット開拓に、意欲的に動き出そうとしていました。

これこそ、キブンゴでバナナペーパーの生産を始めた4年前から望んでいたことです。彼らの取り組みにより、バナナの里キブンゴで、次の新たな一歩が開かれるよう願っています。オーガスティンが、ランプシェード用に依頼していたバナナ紙は、素晴らしい出来栄えでした。
BPランプシェードは、クリスマス・バザーで、お披露目です!
キガリでの残り2日間は、バザーに出展するランプシェードの仕上げ作業です。既に作成済みの骨組みに、前日キブンゴで受け取ったバナナ紙を装着する作業です。彼らの作ったスタンド用ランプシェードは、直線的な部分が多いため、新たな装着方法のヒントを何点か伝え、それに基づき各自で製作をはじめました。
また、最初の2日間で実施したBP作りについて、漉き上がった紙を見ながら各工程を一つ一つ再確認すると、アーティスト達は真剣な面持ちで聞いていました。自身で高品質のバナナ紙を作りたいとする、意欲的な姿勢が印象的でした。

さあ!ランプシェードへの、バナナペーパーの装着は、思い通りに出来たでしょうか?スタンドの下の部分は、瓶にペイントを施した一点もので、これこそ全てルワンダの材料で作られた ― ルワンダ生まれの「バナナペーパー・ランプシェード」― です。
クリスマス・バザーで大人気!
11/21のクリスマス・バザーの会場は、映画 “ホテル・ルワンダ” の舞台になった「ホテル・ミルコリン」です。後日オーガスティンから、成功裏に終わったと報告があり、嬉しくなりました。
「バナナペーパーで作ったカードやカレンダーは沢山売れた。特にランプシェードは、とてもユニーク(他の出展者の多くはバスケット類や布で作る小物などが大半です)で、多くの来場者の関心を集め、在庫が足りずに注文を受けた。」とありました。
また、南部の都市「ブタレ」の学校から「子供たちにバナナペーパーの作り方を、教えて欲しい。」と依頼された、とも話していました。

5年前に始めたバナナペーパープロジェクト、ようやく一里塚に到達した感が……
この度の訪問で、キブンゴまたキガリで、バナナペーパーの新たな波が起きてきたと感じています。
5年前にルワンダ国内3ヶ所で開いた、BPワークショップ。以後色々な事がありましたが、ようやく一里塚にたどり着いたかな?そんな思いです。今後の展開が楽しみです。